情報革命バブルの崩壊

1 月 26th, 2009

インターネットに対する過剰な期待感(バブル現象)を読み解く本。

【目次】
第1章 本当に、新聞はネットに読者を奪われたのか?
第2章 ネット空間はいつから貧民の楽園に成り下がってしまったのか?
第3章 情報革命バブルとマネーゲームの甘い関係
第4章 ソフトバンクモバイル(SBM)で考える時価総額経営の終焉
第5章 「ネットの中立性」とネット「無料文化」の見直し

第1章では、ネットに読者を奪われるという幻想が、新聞社自らの経営努力不足を覆い隠す方便になっていると指摘する。新聞社の欠点は、新聞メディアのコア価値を認識しない点、そのコア価値を安価にネットポータル等に売っている点、読者層の調査・把握に関心がない点などをあげる。
第2章では、ネットユーザの可処分時間などに注目して、ユーザ主要層は社会参加していない人々とし、ネットはそれらの層の持つ価値観に覆われて、反社会化していると指摘する。
第3章では、証券市場に蔓延する広義の粉飾や、堀江ライブドア前後の変化を概観する。市場の透明性を後押しする動向と、ライブドア以前にあったネットに対する過剰な期待感や投資資金流入が失われるだろうと予測する。
第4章では、ソフトバンクモバイルがYahoo!BBなどで行った廉売戦術を踏襲している点、それが投資家らの過剰な期待感を背景にした資金調達に依存している点を指摘する。SBMが倒産するのは「万が一」としているが、今後はインフラ維持の観点などから利用者の費用負担は増大すると指摘し、第5章へとつながっていく。

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塩野七生:ローマ人の物語 ハンニバル戦記

1 月 20th, 2009

塩野七生によるローマ史の本。

文庫3巻では、第1次ポエニ戦争とその後が語られる。シチリア島の都市抗争に介入したローマは、島の西半分を支配していた北アフリカの海軍国・カルタゴと衝突する。ローマはカルタゴとの戦争ではじめて海軍力を組織し、シチリア島からカルタゴの影響を排除することに成功する。カルタゴではローマとの講和後に傭兵の反乱が起こるが、これを平定したハミルカル将軍は将兵とともにスペインに移動し、その地の支配を始める。

文庫4巻では、第2次ポエニ戦争が語られる。カルタゴのスペイン総督となったハミルカルの子・ハンニバルは、ローマ側都市を攻めてローマから宣戦布告を引き出すと、一路イタリア方面へ軍を向ける。
アルプス山脈を越えて突如イタリア半島に現れたハンニバル軍はローマ軍と会戦し、たくみな戦術によって勝利する。ハンニバルは南下してローマ周辺都市を略奪し、半島南部のカンネでローマ軍をまたも破る。これ以後ローマは作戦を変え、まだ離反していない周辺諸都市への対応と、ハンニバルの補給分断を意図した持久作戦へと変化する。
ローマの持久作戦が奏功してハンニバルから主導権が失われつつあった頃、ローマでは年齢不足のスキピオが軍司令官になり、ハンニバルのお膝元スペインに侵入する。

文庫5巻では、第2次ポエニ戦争終結とその後が語られる。スペインを平定してローマに帰還したスキピオは、年齢不足ながら執政官となり、シチリア島へ着任する。その地で兵力を増強すると北アフリカへ上陸し、ヌミディア王国を攻める。その後、イタリア半島から戻ったハンニバルとついにザマで会戦し、これを打ち破る。カルタゴはローマと講和し、ハンニバルは祖国の内紛によってシリアへ逃れる。
その後、ローマは周辺国の抗争や内紛に介入することが増え、ギリシャのマケドニア王国、北アフリカのカルタゴを攻めることになる。そしてこれらの国は、歴史の幕を閉じることになった。

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塩野七生:ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず

1 月 19th, 2009

塩野七生による王政ローマ、共和政ローマ初期の本。

文庫1巻では、建国の王ロムルス以下6代の王政時代と、共和政に移行した時代、およびギリシャ文明とペルシア戦役が語られる。共和政移行は7代目の王を追放し、任期1年の執政官を設置することで始まった。ローマと直接関係ないギリシャが語られるのは、共和政ローマから元老院議員が派遣されたことによる。視察団は、それまで口頭で運用されてきた法律を成文化するに当たり、ギリシャの先例を調べるためにギリシャを訪問した。

文庫2巻では、共和政初期のローマがイタリア半島を統一する過程を描く。北部から異民族の侵入によってローマは占拠されるが、これを契機として周辺都市との同盟関係を変える。南部ターラントとの対決では、ターラント側についた北ギリシャの王ピュロスと対決することになる。ピュロスは同時代のアレキサンダー大王の戦術を用いてローマ軍に勝利する。しかしシチリアのギリシャ人から依頼を受けて軍事介入している間、回復したローマ軍に敗北してギリシャへと帰っていく。

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ジェイ・エイブラハム:ハイパワー・マーケティング

1 月 6th, 2009

ビジネスを進める基本的な手法をまとめた本。
マーケティングやセリングに関して基本的な着眼点を述べる。顧客が商品に期待する利益を考える、競合が提供しない独自の利益で差をつける(USP)、保証で顧客をリスクから守る、協業して他の事業者がもつ顧客をもらう、きっかけをつかんで顧客と連絡を密にする、など。

今まで消費者の発想しか持たなかった人にとっては重要な内容が多い。ビジネス経験の長い人でも、読み進めていくと心当たりがありそうな指摘に気づかされる。自分にとっては、顧客生涯価値の点で顧客を考える視点が重要な指摘だった。収益性の悪いプロジェクトでも、次回はおいしいかもしれない。

一方、内容に比べて冗長な文章量で、類書で指摘される内容も多い。内容の重なる本を多読する人なら、わざわざこの本で時間を消費しなくてもよいかもしれない。監訳者はこれが原書なので価値があるようなことを書いているが、同じ知識を得られるなら、原書とか元祖とかはどうでもいいと思う。
業種ごとの専門領域にも踏み込まないから、もしそのあたりで着眼を得たいと思ったら他の本が良いと思われる。

【第I部】
1章 成功へと続くすばらしい旅が始まる
2章 ブレイクスルーを生み出していく
3章 自分の強みと弱みを知る
4章 卓越の戦略をマスターする
5章 最購入システムを構築する
6章 あなた独自の売り(USP)を提供する
7章 リスク・リバーサルでクライアントの不安を解消する
8章 選択肢を増やしていく
9章 テストマーケティングを繰り返す

【第II部】
10章 ジョイントベンチャーを仕掛けていく
11章 紹介システムを導入する
12章 関係の途絶えたクライアントを取り戻す
13章 ダイレクトメールは1万人の営業部隊
14章 可能性の高い見込み客を特定しよう
15章 テレマーケティングで爆発的な利益をあげる
16章 クライアントとの関係を維持し、深める戦略
17章 目標達成するために過去を分析する
18章 成功に終わりはない
19章 あなたは自分が思っているより恵まれている

【言及しているブログ】
http://arafuka.jp/archives/562142.html
http://d.hatena.ne.jp/shunsuk/20081021/1224580806
http://staygold2068.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-e254.html
http://blog.goo.ne.jp/akihisaishiguro/e/5fb2aaf826c73ae0cc77ba8ebf789735

ハイパワー・マーケティング
ハイパワー・マーケティング
ジェイ・エイブラハム
インデックス・コミュニケーションズ (2005-02-19)
ISBN-10: 4757302878
ISBN-13: 9784757302877

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勝間和代の日本を変えよう ライフハッキング・ジャパン

12 月 24th, 2008

日本の社会構造にある問題点を考える本で、若い世代や女性全体と、社会変革を考える立場に向けて書かれたと考えられる。

第1章「若い人が暗い国」では、30代前半以下の若い世代が雇用や政策面で冷遇されていて、総じて悲観的であるという現状認識のもとに、なぜそうなったのかという部分を日本社会の制度設計を概観してみせる。
第3章「女性が産める国、働く国へ」では、女性の社会参画という視点から制度や社会構造の問題点を検討する。第5章「NYで考えたポスト資本主義」では、米国や日本の社会構造を検討しながら、社会企業家やボランティア活動の面から社会構造改革を考える。2章、4章はそれぞれ西原理恵子、雨宮処凛との対談記事になっている。

著者は公認会計士で外資系勤務などの経歴をもち、現在は経済評論家。個人的には、流行のベストセラー作家だということは知っていたが、特に関心はなかった。あるときAmazon.co.jpの「なか見!検索」で本書の第1章を見てから、読んでみようかという気になった。
著者の現状認識はおおむね共感できて、冷静に分析していると思われた。その対策を安易に政治に求めるような野党精神ではなく、時間がかかっても人の意識を変えて、それから社会全体を変えていこうという点にも好感が持てる。
【言及しているブログ】
http://d.hatena.ne.jp/happysmiletalk/20081223/p1
http://plaza.rakuten.co.jp/siorin/diary/200812210001/
http://we23randoku.blog77.fc2.com/blog-entry-35.html
http://yaoyorozu.gunmablog.net/e28444.html
http://blog.livedoor.jp/s_kuri2002/archives/51432084.html
http://tanakaweb.jugem.jp/?eid=86

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