松田宏也:ミニヤコンカ奇跡の生還 (2000)
10 月 11th, 2006
1982年、中国ミニヤコンカ遠征で下山に失敗し、遭難した著者による手記。
激しく消耗し、凍傷に体を犯されながらの単独下山で、繰り返しの幻聴で精神的に衰弱しながらも希望を捨てず、不自由な手の代わりに歯を使ってザイルをとき、肩がらみで山肌を下降するなど、非現実的な状況と常人離れした行動の記述が続く。
安直な状況判断で登山用具を投棄したり、精神的余裕を失って相棒と確執しついには別れるなど、多くの状況悪化が読み手をやきもきさせる。その反面、こうした安易な失敗で遭難してほしくないという思いが、著者の執筆動機となったようだ。
状況を考察すると、1) 持ち込んだ食料が尽きた上、拠点キャンプが早々に撤収してしまった、2) 判断ミスから来る状況悪化による体力の急速な消耗、3) 不安定な天候、などの点から、著者らに選択はなく、全力を尽くして下山するか死ぬかのどちらかといった差し迫った状況が、そうした常人離れした行動に結びついていたのだろうと思われた。
【関連書籍】
阿部幹雄:生と死のミニャ・コンガ (2000)
本書の事故の1年前、7人がミニヤコンカの北壁に消えた遭難事故の記録。
ミニヤコンカ奇跡の生還 (yama‐kei classics)
松田 宏也,徳丸 壮也
山と溪谷社 (2000-10)
ISBN-10: 4635047121
ISBN-13: 9784635047128
松田 宏也,徳丸 壮也
山と溪谷社 (2000-10)
ISBN-10: 4635047121
ISBN-13: 9784635047128


