佐野三治:たった一人の生還 「たか号」漂流二十七日間の闘い (1995)
10 月 13th, 2006
1991年、外洋ヨットレースに参加した「たか号」は出発4日目に転覆し1人が死亡、残った6人は救命筏で脱出する。脱出時のミスで食料、水など備品を失い、1枚のビスケットを全員で分け合うような事態になる。
雑談をしたり軍歌を歌って励ましあうが、ちょっとした口論を繰り返して精神的な疲労が蓄積し、生きる気力が失われていく。捜索の機影が上空に現れるが、彼らを発見できずに去っていくと、希望を失った人から次々と死んでいく。
こういった遭難では、まず水、食料の確保が問題になり、次に生還のための方法や救出活動への応答が問題になるようだ。このケースでは、雨水とそれを受ける器具に恵まれ、食料は筏の備品と偶然捕まえた海鳥で補充していた。活動を最小限にしてエネルギー消費を抑え、貨物船の航路に引っかかって救助されるという幸運にめぐまれたことも、助かった要因の一つだろう。
遭難した著者らがお互いを励ましあって記憶になる遭難事故を話し合う場面では、1970年代にアンデス山中に墜落したウルグアイのラグビー・チームの話が出てくる(Wikipedia:アンデスの聖餐)。アンデスのケースでは食糧不足から人肉食にまで至ったようだが、本書のケースと何が違っていてそこまでプロセスが変わったのか、非常に興味深いところではある。
【関連書籍】
P.P.リード:生存者 (2000)
アンデス山中に飛行機が墜落。生存者は、仲間の死体を食べて生き延びた。
松田宏也:ミニヤコンカ奇跡の生還 (2000)
中国ミニヤコンカ山で遭難。力尽き、最後は這いながらも下山。


