中野宗ほか:Web屋の本 (2006)

11 月 11th, 2006

Web2.0に即したホームページ制作提案をおこなうためのガイド本。ティム・オライリーによるWeb2.0論文以降の流れを詳しくおさらいし、成功を収めているインターネット・サービスを紹介している。単なるHP制作でない、少し変わった提案を行いたいと思っている業者に向いている。

しかし、そうした提案ができたから顧客満足に寄与するかといったら、疑問符をつけざるを得ない。この本では、Web2.0という一種あいまいな概念によって何が可能になり、どんなユーザ経験があらわれるかまではわかるのだが、それが顧客や顧客のビジネスにどのような恩恵があるかは語られてない。著者のいうWeb屋2.0になったから売上が伸びるかというと、それは不明のままである。

それが詳細にわかるのは、本書中ほどの事例集だろう。ここでは顧客の簡単なプロフィールと要求が述べられ、それに対して提案したWeb2.0ソリューションが紹介されている。しかし、提案後にプロジェクトが動いたかや、顧客がどのような反応をしたか、そのWebサイト開設で顧客の顧客にどのような影響を与えたかには触れられていない。顧客の企業プロフィールやインタビューもあってよさそうだが、全事例でそれがないとなると、残念ながら架空事例の域を出ないといわざるを得ない。BtoBではなく、BtoCサービスの収益化を検討しているならば、塚田耕司ほか:RSSマーケティング・ガイド(2006)の方がヒントが多い。

とはいってもこれは本書に限らず、おおむねWeb2.0の話題を扱うメディア全般に共通することだろう。それでもなお、Web2.0に関わるMBA的な言説を理解する上での入門書としては、役割十分と考えられる。

【関連書籍】
塚田耕司ほか:RSSマーケティング・ガイド (2006)
 インターネット広告モデルによるBtoCサービスを計画する上で有益。

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