関口すみ子:大江戸の姫さま (2005)

11 月 19th, 2006

江戸時代、将軍や公家、有力大名に嫁いだ姫を扱った本。姫の生活や輿入れ前の政治事情、輿入れ道中の様子などを当時の史料や写真をもとに描き出す。上級公家や将軍の娘が大名に嫁ぐことで、実質的には「夫より上位の妻」ができあがるが、明治以降はそうした姫の話題が巧妙に隠され、「夫に仕える従順な妻」に書き換えられていったという。その背景には、男尊女卑的なイデオロギーにとって都合の悪い、「夫より上位の妻」を隠したいという意図があったと指弾し、そのとばっちりで姫の話題はマイナーになったと主張する。

個人的なイメージでは、こうした日本史解説本の著者は年配の大学教授や作家で、表紙見返しに写真を載せたりする人は、本書以外では今まで知らない。本書の著者は、肩書きでは法学領域の専門家で、本を開いて最初にある略歴ではかなり違和感を感じる著者だと思ったのだが、やはり何か独自の主張したいところがあってそうしていたのだというのがわかると、少し残念に思った。

そういう著者の意図がわかっていれば、なぜその姫を話題として扱うのかがわかってくるのだが、通常の日本史本に慣れた人にとっては、各エピソードの前後で違和感を感じるだろう。無料サービスにつられて入った事務所で、何万円もする商品を買わされた気分である。

姫に着目する点も、夫より上位におかれた姫が婦徳に置き換えられたという仮説も着眼点としてかなりいいが、単純に日本史や過去の人物の人となりに触れたいという人には向かない本である。

【関連書籍】
鈴木由紀子:大奥の奥 (2006)
 大奥のエピソードを、細やかな史料解釈とともに語る。
鈴木尚:骨は語る 徳川将軍・大名家の人びと (1985)
 将軍家墓所の発掘調査から、将軍や御台所の生活史を明らかにする。

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