丸山学:月100万円のキャッシュが残る「10の利益モデル」(2006)

8 月 29th, 2006

売上が出ても利益が出ないという事業者のために、利益を確保する手法を示す本。著者はインターネットを利用した業務展開に積極的な行政書士で、高橋浩子「メルマガ×ブログ×ホームページで儲かるしくみをつくる本」(2006)にも登場している。

本文中の利益モデルは、参考文献のE.J.スライウォツキー「ザ・プロフィット」(2002)をもとにして、著者の解釈や経験を加えたもののようだ。文章は平易で分かりやすい。印象に残ったところをメモすると、

・フライングスタート……法改正などのビジネスモデルの変化を精査し、競合に先駆けて準備をして先行者利益を獲得するモデル
・ポータル……ニーズはあるが事業者にマーケティング能力が不足している場合、事業者のネットワークを整備するなどして仲介利益をあげる。同時にネットワークから得たデータをもとにコンサルなどを行う
・キャッシュポイントをずらす:例えば小冊子マーケティング。顧客に初期投資をおこなって信頼を獲得し、次の段階で利益化する。
・リピート……シナジー効果のある業務を組み合わせる。他方のサービス提供完了時点が、別のサービスへの欲求喚起をおこなう仕掛けにする
・資源のコピー……例えば知識提供などの場合、ある知識を別の形態、メディア、ターゲット向けに変化させ、利益化する
・安心を売る……例えば保険商品など。トラブル等で実際の稼動が発生しなければ、表面的にはタダ取りになるような仕組み。
・顧客サポート……中小零細企業で経営資源の余裕が無いとき、顧客を指導、教育するサービスなどによって低価格を達成しつつ、経営資源を節約するモデル

著者の業務領域の影響か、サービス業向けに書かれているように見える。差別化の難しい商材では難しいと思われるが、自分の業種に適用しながら読んでいくと、新しい事業アイデアが検討できると思われる。

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ひとり仕事術 (2005)

8 月 23rd, 2006

複数の個人事業主への取材を重ねながら、一人で働く人たちによくある疑問点への回答を示している本。著者自身も個人事業主で、本多信一「食べていくための自由業・自営業ガイド」(2004)と同じように、個人で働くこと自体のメリットを積極的に選択する立場である。社会的成功や報酬を目的として事業主になる立場とは異なる。

大部分はノウハウや心得であるが、複数の個人事業主の取材の上で導出された知識である点が、説得力の源泉になっている。言ってみれば、個人事業主で集まってノウハウを交換している感じである。

例えば、会社による組織的な研修の無いデメリットを指摘し、業務の守備範囲を広げる自己改革につとめること、将来のキャリアプランを持つ重要性を説明する。具体的には、意識的に情報収集をおこない、専門の隣接領域へと進出していくこと、自分の特性を見極めて、マネジメントあるいはプロフェッショナルのいずれを選択するのか決めることを示している。

気になる報酬の問題では、基本的に自然上昇はないとあきらめることを指摘するが、他の方法でそのデメリットを克服する対策を述べる。つまり、その仕事をやりたいか、継続的な仕事につながるか、キャリアや成果につながるかで判断することや、安い報酬でも通常以上のクオリティを維持したうえで、この報酬では次は無いことを取引相手にコミュニケートすることをあげている。

参考文献として、ピーター・モントヤ「パーソナルブランディング」をあげている。その他、備品調達サイトとして、浅野商事SOHO家具 Garageポータルアスクルなど、参考になるWebサイトを多数上げている。

ひとり仕事術
ひとり仕事術
中本 千晶
バジリコ (2005-10-07)
ISBN-10: 490178482x
ISBN-13: 9784901784825

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通販業界ハンドブック (2003)

8 月 7th, 2006

通信販売業界の現状や来歴にくわえ、近年存在感を増しているインターネット通販の現況を、統計資料とともに解説した本。通販ショップ店主らに適したエッセンスも見つけることができる。

メルマガ本(1億稼ぐ! メールマガジン私の方法(2005))、アフィリエイト本(アフィリエイト仰天集客術(2005))の述べるところと同じく、通販においても、「その店が信頼できるかどうか」を顧客にコミュニケーションすることは、重要である。「どんなオンラインショップで買い物をしたいか」という問いに対して消費者らは、大手企業、通販専業会社、実店舗のある会社から買いたいと答えており、本書ではこうした点からオンラインショップの信頼性向上が重要だと述べる。

インターネットの急成長については、ダイレクト・マーケティングの可能性および必要性が高まっていると指摘するほか、リピート客の固定化が収益の柱になると述べる。例えば、DMには顧客の住所等を記入済みの注文書を同封する、初回注文の満足度をあげるなどしてリピートを促す必要があるとしている。

ほかにも、品切れ、納期遅れ、商品が違う、説明と違うという苦情への備えを指摘し、収益の向上施策として、PDCAサイクルの開発を強調する。これは、新商品や販促活動がマーケットにどれくらい受け入れられるかを、具体的に管理、観察し、行動にフィードバックしていくということである。具体的には、カタログ通販のテストカタログ配布や、広告費の赤字を覚悟することを指摘している。

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マーケティングゲーム (2002)

8 月 7th, 2006

本書は、マーケティングの諸概念が実務の現場でどんな戦術になるのかを、実例をもとに解説する。マーケティングがビジネスに役立つと聞いて本を読んだが、抽象的な話しばかりで退屈した人に向いている。

基本エッセンスの一例をあげると、例えばブレーンストーミングでは参加者が対等に意見を言える演出をすること、消費者には便益を示すことと、便益の明確な根拠を伝えることを述べている。

プロダクトに関するエッセンスとしては、細分化によるカテゴリ独占が述べられている。例えば、バンドエイドを単品で売るよりも、大人用・子供用、ひじ用・指用と細分化し、複数種類の購入によって客単価を底上げしたらよいとしている。プライスに関しては、ファイターブランドが興味を引く。これは、競合商品と価格競争を行う「おとり商品」を準備し、本命商品を価格競争から守るという戦術である。

あるいは、よくない広告のパターンとして、(1)自社ロゴの過剰露出、(2)何の関係も無いビジュアル、(3)他者の真似、(4)便益の過剰表現、(5)流行への依存、(6)批判的表現、をあげている。このように本書では具体的戦術を述べることに注力しているため、アカデミックなマーケティング本にありがちな抽象論に惑わされること無く、すんなり読むことができる。

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追跡!ネットワークセキュリティ24時 (2006)

8 月 6th, 2006

実際のセキュリティ・インシデントを当事者の視点で書いた、読み物形式の本。企業を舞台にした事件であり、企業規模や技術者のレベルも多様で奥行きのある本になっている。セキュリティの専門家である著者の解説も、インシデント対応の参考になる。

セキュリティ対策というと、技術的なものに思われがちである。しかし、技術的対策はインシデントが発生した後の想定はまったくしていないし、そんな役割も期待されていない。被害が表面化した場合、現場担当や管理職、経営者のすべてが被害最小化に動く必要があるが、本書ではそうした危機的状況でどんな動きをすればよいかが理解できる。

ストーリーの一例をあげると、例えば家族経営的な食品小売業では、インシデント後の復旧作業時に、技術者が些細な見落としをすることによって復旧が遅れ、被害が拡大している。あるいは全国的なシステムインテグレーターでは、左遷人事を逆恨みした犯人が、同僚のオンラインバンク口座から預金をすべて盗んだ例などもある。

こうしたストーリーの背景には、些細なミスやちょっとしたコミュニケーションの行き違い、安易な想定など、人間くさい事情が存在している。また、そうしたことが原因で、重大な事故が起こっていることに気づかされる。頑丈な鍵は防犯上の効果は高いけれども、鍵をかけるかどうかは人間が決めるのである。

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