12 月 17th, 2006
マネーロンダリングについて解説した本。マネーロンダリングとは、非合法な手段であげた収益の出所をくらますために移動、あるいは形を変えて保管すること。(Wikipedia:資金洗浄)
例えば強盗で得た現金は、あらかじめ番号が控えられていたり、強奪時に目印がつけられていたりする。そのまま使うと犯罪で得た資金であることを明らかにするようなものであるから、別の紙幣に交換できればよい。このようなケースの事例として、韓国へ持ち込んで資金洗浄したとか、非合法カジノでチップと交換した後、再度現金化したとかいうケースが語られる。そのほかにも、有名なオフショア・バンクを利用する事例や、ネット・オークション、株式市場の親交株を利用する事例などが語られる。こうした金融犯罪は、一般のニュースではあまり目にしないだけに、本書のような平易な説明は非常に貴重である。
後半では、マネーロンダリングと関連した犯罪事案に関するレポートになっており、政治汚職、覚醒剤ビジネス、地下銀行などが語られている。
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12 月 2nd, 2006
1990年後半から2000年始めにかけて倒産した会社の記録。公刊情報のみ徹底的にを収集、分析してまとめたもので、初出は2003年の単行本。著者は元・東大大学院工学系の教授。経営や財務の専門家による著述でないだけに、分析の稚拙さはあるけれども、それが一般向けの本として読みやすくなっているという面もある。
興味を引いた事例としては、まず居酒屋チェーン・北の家族の場合である。単体の事業は順調だったにもかかわらず、買収元の企業によるマネーゲームのとばっちりをうけて倒産した事例で、不可抗力の側面が強く、失敗事例として興味深い。インターネット広告業と無料ISPを組み合わせたハイパーネットの事例は、堀江貴文以前のlivedoorと結果的にまったく同じビジネスモデルで、ISPと広告業の相性の悪さが興味を引いた。といってもこの事例は、経営者の能力不足によるところが大きいように思われる。
どんなに能力がある経営者であっても、きわどい意思決定によって急速に状況が悪くなり、ついには倒産した、というのであれば失敗データベースとして価値がある。例えば、北の家族の例は、身売りする先にも十分注意しなければならないことを強く警告している。しかし本書の多くの事例では、経営者が違っていれば回避可能であったかもしれない、というものが多いように思われる。例えば、ハイパーネットの事例である。
それは事後的に事実をたどっているのでそう思うのかもしれないが、その一方で、相当に多くの能力不適者が経営者になっているということであり、そうした経営者に率いられる人々がいるということである。能力不足の経営者についていった人たちは、その後どうなったのだろうか。本書の事例だけでも、かなり多くの失業者が発生しているはずである。
起業と倒産の失敗学 (文春文庫) 畑村 洋太郎
文藝春秋 (2006-07)
ISBN-10: 4167700026
ISBN-13: 9784167700027
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