山本譲司:累犯障害者 (2006)

2 月 24th, 2007

刑務所を出所しても再び犯罪を犯し、刑務所に戻ってくる障害者に焦点をあてたノンフィクション。著者は、よく刑務所モノを書いている安部譲二とはジョージ違いで、元衆議院議員。演歌歌手でもない。公設秘書の給与を流用した罪で服役し、その際に本書につながる累犯障害者らと出会った。

2001年に浅草の路上で短大生が惨殺された事件を記憶の人は多いと思われるが、その犯人が障害者であったことを知る人はほとんどいないだろう。本書冒頭では本事件の顛末を述べるほか、
・障害者を利用して未解決事件の犯人に仕立て上げる警察・検察
・障害者の身元引受人になって養子とし、障害者年金を横取りするやくざ者
・売春に存在価値を見出すが、その意味がわからず女衒に搾取される障害者親娘
・健常者が知りえないろうあ者独自の文化
など、衝撃的で新鮮だがやるせない話が続く。障害者が健常者の文脈で犯罪を犯しているのではなく、健常者との文脈の相違によって犯罪者とマーキングされているのである。

また、ろうあ者が使う手話が、日本語対応手話とろうあ者が使う手話に実質分かれているという指摘には驚かされる。この言語としてのろうあ者手話によって彼ら独特の文化が生じており、ろうあ者コミュニティは良くも悪くも強い結束と閉鎖性を持っているという。

著者の視点は多面的で、できるだけ建設的にあろうという誠意が感じられる。根本的な問題の解決はそう簡単にいかないであろうが、ベストセラーという形態で社会に素材を提示した点は、賞賛に値する。

累犯障害者
累犯障害者
山本 譲司
新潮社 (2006-09-14)
ISBN-10: 4103029315
ISBN-13: 9784103029311

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