創造の方法学 (新書、1979)

7 月 29th, 2006

問題の設定、仮説の構築、仮説検証のための社会調査の設計や分析手法など、社会科学分野ではおなじみとなった手法の解説書。その分野で研究論文やレポートを書く大学生、大学院生に適している。

こうした手法は、先輩の論文や学会論文誌などを読むことで身に付けていくことができると思うが、なぜそんな手法が一般的になっているかといった原理、原則に踏み込む機会はあまりないと思う。先生方も、一般的約束として話しはするかもしれないが、それ以上は面倒くさがって教えたりはしないかもしれない。約束を知って使うことができるのは結構だと思うが、思想的背景の理解がなければ、手法をツールとして使いこなすまでは至らないだろう。

本書では、60年代の学生運動をはじめとした著者の思想遍歴、留学経験などを交えながら、現代の社会科学における研究手法が開発された経緯を知ることができる。著者の経験談は、方法論の解説にありがちな抽象的な話しを、ひとつの事例として具体化する効果があり、大変わかりやすい。

学生ではない社会人でも、問題設定や調査設計が重要なミッションである商品企画、マーケティングに携わる人であれば、多くの示唆が得られると思う。20年以上も前の本であるが、現在でも通用する思想的ツールを与えてくれる。

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「社会調査」のウソ

7 月 1st, 2006

世の中にあふれ返る社会調査を反面教師とし、どんな点に注意すれば調査の真意を読み取ることができるか、あるいはどんな設計であれば有効に機能する社会調査を作ることができるか、という点を述べる。日ごろメディアを通して多くの社会調査に接する人には、それらの本質を見抜く力を与えてくれる。また、社会調査の設計が切実な問題となっている大学生、大学院生、企業の調査部門人員などに適している。

著者が「リサーチ・リテラシー」と呼ぶ調査結果の本質を見抜く力は、健全な社会運営に欠かせない重要なものである。しかし、ステレオタイプかもしれないが、日本人とその文化は、周囲を気にしがちで同質化傾向が強いため、他人との差異が明らかになるようなものを好まないかもしれない。そのうえ、多くの平均的な人々は、世の中を客観的に知りたいわけではなく、おそらく耳に心地よいことだけを聞きたいと考えているのではないかと思う。リサーチ・リテラシーは重要だけれども、残念ながら需要がないのではないかと考えた。

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