1 月 26th, 2009
インターネットに対する過剰な期待感(バブル現象)を読み解く本。
【目次】
第1章 本当に、新聞はネットに読者を奪われたのか?
第2章 ネット空間はいつから貧民の楽園に成り下がってしまったのか?
第3章 情報革命バブルとマネーゲームの甘い関係
第4章 ソフトバンクモバイル(SBM)で考える時価総額経営の終焉
第5章 「ネットの中立性」とネット「無料文化」の見直し
第1章では、ネットに読者を奪われるという幻想が、新聞社自らの経営努力不足を覆い隠す方便になっていると指摘する。新聞社の欠点は、新聞メディアのコア価値を認識しない点、そのコア価値を安価にネットポータル等に売っている点、読者層の調査・把握に関心がない点などをあげる。
第2章では、ネットユーザの可処分時間などに注目して、ユーザ主要層は社会参加していない人々とし、ネットはそれらの層の持つ価値観に覆われて、反社会化していると指摘する。
第3章では、証券市場に蔓延する広義の粉飾や、堀江ライブドア前後の変化を概観する。市場の透明性を後押しする動向と、ライブドア以前にあったネットに対する過剰な期待感や投資資金流入が失われるだろうと予測する。
第4章では、ソフトバンクモバイルがYahoo!BBなどで行った廉売戦術を踏襲している点、それが投資家らの過剰な期待感を背景にした資金調達に依存している点を指摘する。SBMが倒産するのは「万が一」としているが、今後はインフラ維持の観点などから利用者の費用負担は増大すると指摘し、第5章へとつながっていく。
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11 月 11th, 2006
RSSと、インターネット広告ビジネスを扱った本。RSSが一般的になったのは、ユーザ自身がコンテンツを作成する仕組み(CGM)の普及があった。本書はそこから一歩進めて、RSSがビジネス上の機会とどのように関わるかを述べている。
日本国内では、おそらく2004年以降のブログ・ユーザの拡大により、RSSも広告市場での基盤を得た。RSS広告は、RSSのエントリに関連するテキスト広告やバナー広告を挿入することで成立するものである。その背景には、スパムメールの増大により広告メディアとしてのメールの衰退や、RSSや検索エンジンの発達の影響を受けた、固有ページへの直接アクセス増大によるトップページ広告の衰退などがあると本書は指摘する。
ネット上の書評サイトやAmazonのレビューで高評価を得ているのも、このあたりの考察にあるものと思われる。RSS広告の発達が、RSSの普及自体にあったのか、RSSリーダーの普及による潜在広告閲覧者の増大にあったのか、そのあたりははっきりしないけれども、Google AdsenceのようなコンテンツマッチをRSSでも可能にし、かつ市場が発達した背景がよくわかる。インターネット・サービス収益化の一角を占める広告ビジネスが、どのように成立するかという点でも、大きなヒントを与えてくれる。RSSに限らず、インターネットでの新規ビジネスを検討している人にとって役立つだろう。
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11 月 11th, 2006
Web2.0に即したホームページ制作提案をおこなうためのガイド本。ティム・オライリーによるWeb2.0論文以降の流れを詳しくおさらいし、成功を収めているインターネット・サービスを紹介している。単なるHP制作でない、少し変わった提案を行いたいと思っている業者に向いている。
しかし、そうした提案ができたから顧客満足に寄与するかといったら、疑問符をつけざるを得ない。この本では、Web2.0という一種あいまいな概念によって何が可能になり、どんなユーザ経験があらわれるかまではわかるのだが、それが顧客や顧客のビジネスにどのような恩恵があるかは語られてない。著者のいうWeb屋2.0になったから売上が伸びるかというと、それは不明のままである。
それが詳細にわかるのは、本書中ほどの事例集だろう。ここでは顧客の簡単なプロフィールと要求が述べられ、それに対して提案したWeb2.0ソリューションが紹介されている。しかし、提案後にプロジェクトが動いたかや、顧客がどのような反応をしたか、そのWebサイト開設で顧客の顧客にどのような影響を与えたかには触れられていない。顧客の企業プロフィールやインタビューもあってよさそうだが、全事例でそれがないとなると、残念ながら架空事例の域を出ないといわざるを得ない。BtoBではなく、BtoCサービスの収益化を検討しているならば、塚田耕司ほか:RSSマーケティング・ガイド(2006)の方がヒントが多い。
とはいってもこれは本書に限らず、おおむねWeb2.0の話題を扱うメディア全般に共通することだろう。それでもなお、Web2.0に関わるMBA的な言説を理解する上での入門書としては、役割十分と考えられる。
【関連書籍】
塚田耕司ほか:RSSマーケティング・ガイド (2006)
インターネット広告モデルによるBtoCサービスを計画する上で有益。
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8 月 6th, 2006
実際のセキュリティ・インシデントを当事者の視点で書いた、読み物形式の本。企業を舞台にした事件であり、企業規模や技術者のレベルも多様で奥行きのある本になっている。セキュリティの専門家である著者の解説も、インシデント対応の参考になる。
セキュリティ対策というと、技術的なものに思われがちである。しかし、技術的対策はインシデントが発生した後の想定はまったくしていないし、そんな役割も期待されていない。被害が表面化した場合、現場担当や管理職、経営者のすべてが被害最小化に動く必要があるが、本書ではそうした危機的状況でどんな動きをすればよいかが理解できる。
ストーリーの一例をあげると、例えば家族経営的な食品小売業では、インシデント後の復旧作業時に、技術者が些細な見落としをすることによって復旧が遅れ、被害が拡大している。あるいは全国的なシステムインテグレーターでは、左遷人事を逆恨みした犯人が、同僚のオンラインバンク口座から預金をすべて盗んだ例などもある。
こうしたストーリーの背景には、些細なミスやちょっとしたコミュニケーションの行き違い、安易な想定など、人間くさい事情が存在している。また、そうしたことが原因で、重大な事故が起こっていることに気づかされる。頑丈な鍵は防犯上の効果は高いけれども、鍵をかけるかどうかは人間が決めるのである。
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8 月 6th, 2006
近年成長が目ざましい、インターネット広告市場に関する本。広告主として参入する場合に知っておくべきことや、注意すべき点をまとめ、ネット広告メディアで効果をあげるための基礎知識を提供している。
本書の執筆動機には、著者をはじめとするマーケティング専門家にも、実務的なネット広告運用の知識が必要になってきた、という背景があるようだ。したがって、ネット広告に取り組む必要があるが、技術用語などがよくわからないという人向けに書かれている。
著者らのワークショップが、おそらく大規模企業の担当者で構成されていることもあってか、紹介されているネット広告のパートナー企業は、どこも高額の料金を設定しているところばかりである。だからといって個人事業主や中小企業では使えないかというと、そんなことはない。パートナー企業は別に探す必要があるかもしれないが、ネット広告運用に必要な基礎知識は大いに参考になるだろう。
例えば、PPC広告運用の着眼点として、ビッグ&スモールキーワードを厳選すること、広告クリエイティブのPDCAサイクルをまわすこと、ランディングページ(顧客が広告クリック後に到達するページ)をよく検討することなどは、注意すべき点であろう。SEOでは表示順位にこだわるのではなく、コンバージョンレートとガイドライン策定によるノウハウの蓄積を強調している点は、広告主の立場として冷静である。
また、Eメールマーケティングで顧客の維持と購買意欲喚起を狙うことなどは、類書である「1億稼ぐ! メールマガジン私の方法 (2005)」「メルマガ×ブログ×ホームページで儲かるしくみをつくる本 (2006)」と同じ立場であった。マーケティング担当者でなくても、ネット広告と自社のビジネスを結び付けたいと考えている人には、参考になるだろう。
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