12 月 24th, 2008
日本の社会構造にある問題点を考える本で、若い世代や女性全体と、社会変革を考える立場に向けて書かれたと考えられる。
第1章「若い人が暗い国」では、30代前半以下の若い世代が雇用や政策面で冷遇されていて、総じて悲観的であるという現状認識のもとに、なぜそうなったのかという部分を日本社会の制度設計を概観してみせる。
第3章「女性が産める国、働く国へ」では、女性の社会参画という視点から制度や社会構造の問題点を検討する。第5章「NYで考えたポスト資本主義」では、米国や日本の社会構造を検討しながら、社会企業家やボランティア活動の面から社会構造改革を考える。2章、4章はそれぞれ西原理恵子、雨宮処凛との対談記事になっている。
著者は公認会計士で外資系勤務などの経歴をもち、現在は経済評論家。個人的には、流行のベストセラー作家だということは知っていたが、特に関心はなかった。あるときAmazon.co.jpの「なか見!検索」で本書の第1章を見てから、読んでみようかという気になった。
著者の現状認識はおおむね共感できて、冷静に分析していると思われた。その対策を安易に政治に求めるような野党精神ではなく、時間がかかっても人の意識を変えて、それから社会全体を変えていこうという点にも好感が持てる。
【言及しているブログ】
http://d.hatena.ne.jp/happysmiletalk/20081223/p1
http://plaza.rakuten.co.jp/siorin/diary/200812210001/
http://we23randoku.blog77.fc2.com/blog-entry-35.html
http://yaoyorozu.gunmablog.net/e28444.html
http://blog.livedoor.jp/s_kuri2002/archives/51432084.html
http://tanakaweb.jugem.jp/?eid=86
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12 月 24th, 2008
セールスや広告コピー作成に使える30の法則を紹介する本。例えば下記のような「考慮すべきポイント」をあげている。
・一貫性の原理: 購買を決めた後は「ついで買い」を誘いやすい。
・顧客の特徴: 商品に顧客が求めている感情的ニーズは何かをつかむ。
・欠点の告知: 商品の欠点は最初に伝えなければならない。
・抵抗感の克服: 顧客の感じる「買うべきでない理由」を克服すること。
・巻き込みとオーナーシップ: 商品を所有したときの間隔を伝える。実際の商品やその一部に触れてもらう。
・ストーリー: 顧客が興味を持ちそうな物語で商品のことを伝える。
・権威: 専門性を伝える。
・お買い得感: 値段の異なるものをどういう順序で勧めるか考える。
・感覚: コピーに利用するキーワードの感覚的な相違に注意する。モーテル/コテージ、ソビエト/ロシア…
・理屈による正当化: 感覚は購入のきっかけ、理屈は意思決定の補強(納得)に使う。
・強欲: 値段が高いと、より多くの説得が必要になる。
・リンキング: 顧客がすでに知っている知識と結びつければ、商品を理解しやすくなる。メタファの利用や、流行への便乗。
・帰属欲求: 商品の所有者グループに所属したいという意識を利用する。
・収集欲求: コレクションしたいという意識を利用する。
・切迫感: セールストークは時間とともに風化する。意思決定の先送りを回避する。
・限定: 少数の人にしか所有できないことを動機付けに利用数r。
・単純明快さ: 広告内容を単純でわかりやすくする。
・罪悪感: ギブアンドテイクの感覚を利用する。購入前のサポートを馬鹿丁寧にやる。
・具体性: 実例や数字などをコピーに入れる。390kmの血管、72,000の末梢神経、など。
・親近感: 宣伝を繰り返して、商品名やブランドネームになじみをもたせる。
・パターンニング: 似た商品の売り方を参考にしてみる。
・期待感: 期待はずれだった場合、信頼性を損なう点に注意する。
・市場とのマッチング: 受け入れられやすい商品を提供する。
・考えさせる力: 顧客に考えさせるセールストークで、商品への期待を持続させる。
興味をひく実例などを盛り込んでいて、予備知識なく読める。セールストークや広告コピーなど、消費者コミュニケーションを考える立場の人に適している。特にコピー作成の端緒を知りたい人は、そばに置いておきたいと思うだろう。
【言及しているブログ】
http://d.hatena.ne.jp/shunsuk/20081015/1224072223
http://book300.jugem.jp/?eid=251
http://changejlife.seesaa.net/article/110988880.html
http://blog2.hope-age.net/book/post_27.html
http://diarydairy.seesaa.net/article/106709638.html
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12 月 21st, 2008
未来の日本、超能力教育が中心になった学校や社会を舞台にした、少年少女たちの物語。
少女・早季らは学校生活で念動力を習得する。キャンプ旅行で偶然にも社会の秘密に触れてしまうと、規律違反として能力を封じられる。鼠部族の紛争に巻き込まれたあと、自力で能力を復活させ、大人たちの目をごまかして日常へ復帰する。少年少女たちは、この社会を支配する力をたくみにかわしたと思っていた。しかし親友を失う事件が起き、物語は不穏な様子をみせて下巻へ続く。
まず本の分厚さに驚かされ、分量を生かした余裕のある物語運びに少し退屈するが、少女たちが社会の秘密に触れるあたりから急激に面白くなり、止まらなくなった。物語は陰謀論や管理社会への抵抗を枠組みにしているが、主人公たちの非力さが社会の強大さと対比して、面白さの味付けになっていると思われた。いわゆる「ハラハラドキドキ」である。厳正な枠組みの中で主人公たちが苦闘する話は、同じ著者の「クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)」を思い出させる。実にエンターテインメント色の強い小説。
新世界より 上 貴志 祐介
講談社 (2008-01-24)
ISBN-10: 4062143232
ISBN-13: 9784062143233
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12 月 20th, 2008
有名な塩野七生による、古代ローマ、ローマ帝国をあつかったシリーズ。
文庫6巻(勝者の混迷 上巻)は、前半でグラックス兄弟の登場から死まで、後半でガイウス・マリウスとスッラが登場する。グラックス兄弟は農地法に手をつけて元老院議員らの既得権をおかしたため、不評をかって謀殺される。ガイウスとスッラは北アフリカの戦争(ユグルタ戦役)で名声を上げる。執政官となったガイウスは軍制を改革して志願制に切り替え、ローマ軍の戦力をあげることに成功するが、これによって不公平感のつのった同盟都市市民が反乱を起こす(同盟者戦役)。
文庫7巻(勝者の混迷 下巻)は、前半でスッラの台頭が終わり、後半でポンペイウスが登場する。スッラとの政争に破れたマリウスが、好機をつかんでローマに入城する。しかしマリウスは、スッラの小アジア遠征中に死亡。スッラはローマに入り、残った民衆派を一掃して独裁官に就任する。その後、その強権をもって元老院の強化など政治改革を行うが、あっさり引退する。
この時、スッラに加担したポンペイウスは、スペインの反乱鎮圧で功績をあげて戻ると、立候補資格に難がありながらも執政官に就任する。その後、地中海の海賊掃討、イエルサレム遠征を成功させ、共和政ローマの版図を拡大し莫大な戦利品をもたらす。
著者の叙述も簡素でしつこくなく、なじみのない古代ローマの人名、用語も気にならず読み進めることができる。有名な本なのに特に関心をもっていなかったが、期待にたがわず読みやすくて面白く、示唆に富んでいて、すべての人におすすめの本として完成しているといえる。
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