宮部みゆき:ドリームバスター (2001)
7 月 11th, 2006
道子は、幼いころに火事跡で見た不気味な人影が忘れられない。ある夜、夢の中で再び人影を見る。しかしその夢には娘の真由も現れ、なぜか奇妙な現実感を持っている。人影に追われ、道子らの逃げた先をさえぎったのは、バケツのような乗り物に乗った少年と、その師匠だった。
装丁がSF・ファンタジー風で先入観にとらわれてしまうが、ストーリーのベースとなる登場人物は、宮部が得意とする現代の平凡な人々である。人々の見る悪夢やその原因になっている過去の事件は、異常で不気味なのだが、記憶は心の奥に隠され、表面的には平穏が守られる。
ストーリーの途中で過去は徐々に明らかにされ、時折ちらりと不気味な複線となって現れ、それらが合流して結末へと向かっていく。こうしたストーリーの流れのために、登場人物が平凡を外れる異常体験を持っていたとしても、読者が彼らを拒否することはない。むしろ登場人物に同情し、理解する。心の傷を負った人々に向ける著者の温かいまなざしを感じさせる。
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