硫黄島―勝者なき死闘 (1986)

7 月 9th, 2006

太平洋戦争末期の激戦地である硫黄島上陸戦の様子を、米国側将兵の視点で記録したもの。多数の将兵にインタビューを行い、リアルな戦場の様子を描き出している。

米側から見た日本軍という視点が、非常に興味深い。例えば、神風特攻のレポート記事、厭戦的な米兵談話の掲載が報道管制の対象であったり、将軍たちの確執などは、日本の書籍ではあまり見られない話題である。

また、兵士の犠牲に対する観点も面白い。例えば米国では、硫黄島がそれほどの犠牲を払うのに見合った拠点なのか、という議論が世論として湧き上がる。おそらくベトナム戦争や、現在のイラク戦争でも同様の観点があっただろう。しかし日本では、当時は護国の鬼とか英霊とか呼んで尊敬し、現在では犠牲は残酷だから戦争なんてしてはいけない、という。犠牲を硬直的にとらえて、思考回避的であるという点では当時も今も変わっていない。

犠牲を出すのに見合うかどうか、という米国的な視点は、60年経った今でもないのだ。こうした点は、おそらくその後のダッカ日航機ハイジャック事件などと連続しているのではないか。そうした比較文化の点で、強く印象に残った。

硫黄島—勝者なき死闘
硫黄島—勝者なき死闘
ビル・D. ロス
読売新聞社 (1986-05)
ISBN-10: 464354810x
ISBN-13: 9784643548105

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