7 月 9th, 2006
パラサイトシングル、フリーター現象を、社会的な枠組みの観点から分析、解説したもの。男女同権にはじまる性役割の均質化、世代間の職業待遇格差、親子の消費市場での役割同質化など、断片的な2者間の社会格差変容が、若者のパラサイトシングル、フリーターといった社会現象につながっていく。
女性は家庭に入って子供を養育し、家事をこなすのがあたりまえであるというのは、男女同権のうえで理不尽な観念である。しかし、そうした従来の観念に疑問符がつけられていくことは、女性が社会の中でアイデンティティーを確保しようとするとき、必ずしもよい影響だけを持つとは限らない。本来は、単純に選択肢が広がっただけのはずなのだが、従来観念を選択したい女性のアイデンティティは危うくなる。
最終的に著者は提言を行っているが、それらの提言は政策立案者の立場でおこなわれており、すなわち文科省の紐付きで研究活動をしていたりする著者の立場のものである。若者の味方だと思って読んでいると、最後におあずけを食ってしまう。
読者が当事者の一方である若者たちならば、自分の現状は社会のせいだからどうしようもないと思って安心するのではなく、先生の分析を参考に今どうすべきかを考えたほうがいい。
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7 月 9th, 2006
定年を迎えた上司に、男はある相談を受けた。社内のある女性の話し相手になってほしいという。その女は目立たない存在でもう若くもないが、わずらわしい自己主張もなく、男を受け入れる。しかし、男が定年を迎える立場になったとき、その女の行く末が案じられるようになった。
吉村の短編集で、多くはフィクションと思われるが、いくつかは東京の戦争とも関連するストーリーで、私小説の体裁を取っている。物語の視点は、定年を迎えた男性が多いが、内容は彩りがあって多様である。
碇星 (中公文庫) 吉村 昭
中央公論新社 (2002-11)
ISBN-10: 4122041201
ISBN-13: 9784122041202
カテゴリー: 文芸 |
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7 月 2nd, 2006
技術者で当局の諜報活動も勤めた著者による、母国脱出の手記。国境近く、中国北朝鮮族の町で暮らしていた著者ら家族のもとへ、中国公安当局が踏み込んでくる。著者は北朝鮮に送還され、警察当局の監獄に収監される。凄まじい暴力と奴隷的な労働を強いられながら、それでも何度も脱北を繰り返す。
村上龍は半島を出よの中で、「日本人は暴力に慣れていない」と書いたが、そのとおりだと思う。ついに命を失った著者の遺稿をまえに申し分けないが、凄惨すぎて距離感を感じる。
尊厳を踏みにじられた人間が復活する話としては、戦場のピアニストを思い出す。映画といっしょにしてしまって悪いが、自分がもし理解できる点があるとすれば、そうした点であろう。こんなに厳しい人生を送っている人がいるのなら、自分の日常的な問題など、本当に些細なことだと思う。
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