ジェイ・エイブラハム:ハイパワー・マーケティング

1 月 6th, 2009

ビジネスを進める基本的な手法をまとめた本。
マーケティングやセリングに関して基本的な着眼点を述べる。顧客が商品に期待する利益を考える、競合が提供しない独自の利益で差をつける(USP)、保証で顧客をリスクから守る、協業して他の事業者がもつ顧客をもらう、きっかけをつかんで顧客と連絡を密にする、など。

今まで消費者の発想しか持たなかった人にとっては重要な内容が多い。ビジネス経験の長い人でも、読み進めていくと心当たりがありそうな指摘に気づかされる。自分にとっては、顧客生涯価値の点で顧客を考える視点が重要な指摘だった。収益性の悪いプロジェクトでも、次回はおいしいかもしれない。

一方、内容に比べて冗長な文章量で、類書で指摘される内容も多い。内容の重なる本を多読する人なら、わざわざこの本で時間を消費しなくてもよいかもしれない。監訳者はこれが原書なので価値があるようなことを書いているが、同じ知識を得られるなら、原書とか元祖とかはどうでもいいと思う。
業種ごとの専門領域にも踏み込まないから、もしそのあたりで着眼を得たいと思ったら他の本が良いと思われる。

【第I部】
1章 成功へと続くすばらしい旅が始まる
2章 ブレイクスルーを生み出していく
3章 自分の強みと弱みを知る
4章 卓越の戦略をマスターする
5章 最購入システムを構築する
6章 あなた独自の売り(USP)を提供する
7章 リスク・リバーサルでクライアントの不安を解消する
8章 選択肢を増やしていく
9章 テストマーケティングを繰り返す

【第II部】
10章 ジョイントベンチャーを仕掛けていく
11章 紹介システムを導入する
12章 関係の途絶えたクライアントを取り戻す
13章 ダイレクトメールは1万人の営業部隊
14章 可能性の高い見込み客を特定しよう
15章 テレマーケティングで爆発的な利益をあげる
16章 クライアントとの関係を維持し、深める戦略
17章 目標達成するために過去を分析する
18章 成功に終わりはない
19章 あなたは自分が思っているより恵まれている

【言及しているブログ】
http://arafuka.jp/archives/562142.html
http://d.hatena.ne.jp/shunsuk/20081021/1224580806
http://staygold2068.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-e254.html
http://blog.goo.ne.jp/akihisaishiguro/e/5fb2aaf826c73ae0cc77ba8ebf789735

ハイパワー・マーケティング
ハイパワー・マーケティング
ジェイ・エイブラハム
インデックス・コミュニケーションズ (2005-02-19)
ISBN-10: 4757302878
ISBN-13: 9784757302877

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大村大次郎:税務署なんか怖くない (2005)

3 月 9th, 2007

中小企業の経営者向けに書かれた税務署や税務調査に関する本。著者は国税庁の法人担当として10年勤務し、現在はコンサルタント。

会社経営を始めると、今まで縁の無かった税務署といきなり関わざるを得なくなる。税務署や税務調査とはいったい何なのか、そのときどうすればいいのか、やっぱり追加で税金を払わなければならないのか。本書の内容は、そうした無知からくる税務署への過度な恐れを回避するための材料になる。

内容としては、実例を交えた税務署や税務調査の内側を解説している。例えば、赤字法人が税務調査されにくいというのは本当なのか、税務調査が空振りにならないように調査官が指摘する余地を作っておくべきなのか、無届・無申告はどうなるのか、修正申告をすべきなのか、といった都市伝説的なものから実践的なノウハウまでが述べられている。

そのほか経費が否認される事例や、調査官が着目する点(期末の売上計上、原始記録)、反面調査や内偵などの調査手法にも話は及ぶ。読んで分かるのは、税務署職員も基本的にはサラリーマンであって、業績を上げるために税金を取ろうというインセンティブがあることと、経歴の汚点になる「申告是認」(調査しても何も指摘事項が無いこと)や修正申告を取れないことなどは回避したいという意図がありそうだということだろうか。

著者の税務署関連の本はかなり多いのだが、以上にあげる内容がどの本でも重複しており、2-3冊読むと十分になってしまう点が残念なところではある。

税務署なんか怖くない
税務署なんか怖くない
大村 大次郎
あっぷる出版社 (2005-04)
ISBN-10: 4871772446
ISBN-13: 9784871772440

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関口すみ子:大江戸の姫さま (2005)

11 月 19th, 2006

江戸時代、将軍や公家、有力大名に嫁いだ姫を扱った本。姫の生活や輿入れ前の政治事情、輿入れ道中の様子などを当時の史料や写真をもとに描き出す。上級公家や将軍の娘が大名に嫁ぐことで、実質的には「夫より上位の妻」ができあがるが、明治以降はそうした姫の話題が巧妙に隠され、「夫に仕える従順な妻」に書き換えられていったという。その背景には、男尊女卑的なイデオロギーにとって都合の悪い、「夫より上位の妻」を隠したいという意図があったと指弾し、そのとばっちりで姫の話題はマイナーになったと主張する。

個人的なイメージでは、こうした日本史解説本の著者は年配の大学教授や作家で、表紙見返しに写真を載せたりする人は、本書以外では今まで知らない。本書の著者は、肩書きでは法学領域の専門家で、本を開いて最初にある略歴ではかなり違和感を感じる著者だと思ったのだが、やはり何か独自の主張したいところがあってそうしていたのだというのがわかると、少し残念に思った。

そういう著者の意図がわかっていれば、なぜその姫を話題として扱うのかがわかってくるのだが、通常の日本史本に慣れた人にとっては、各エピソードの前後で違和感を感じるだろう。無料サービスにつられて入った事務所で、何万円もする商品を買わされた気分である。

姫に着目する点も、夫より上位におかれた姫が婦徳に置き換えられたという仮説も着眼点としてかなりいいが、単純に日本史や過去の人物の人となりに触れたいという人には向かない本である。

【関連書籍】
鈴木由紀子:大奥の奥 (2006)
 大奥のエピソードを、細やかな史料解釈とともに語る。
鈴木尚:骨は語る 徳川将軍・大名家の人びと (1985)
 将軍家墓所の発掘調査から、将軍や御台所の生活史を明らかにする。

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斎藤充功:諜報員たちの戦後 陸軍中野学校の真実 (2005)

11 月 12th, 2006

陸軍中野学校出身者が、戦後どうなったかに焦点をあてた本。同校で教育を受けた情報将校は2131名、うち戦死289名、消息不明376名となっている。消息者の内訳は、戦犯として裁かれ巣鴨プリズンに収監されたもの、実業家として国内外で成功したもの、GHQスタッフになったもの、自衛隊で有力な地位を占めたものなどがいる。本書は、いくつかのケースについて取材や本人インタビューをおこない、諜報員たちの戦後史を明らかにしている。

多くは関係者本人へのインタビューによるノンフィクション形式で、戦犯になったものの話しや、GHQスタッフになったものの話しが収録されている。ただ、全般的に著者の主観による記述が多く、事実のみを拾い出して淡々と記述するという形式ではない。中ほどに下山事件と中野学校出身者との関わりについて取材した章があるが、ほとんどのインタビュイーが仮名のうえ著者の感情が前に出すぎており、完全に客観性を欠いてしまっている。Wikipedia:下山事件によると、事件に陸軍関係者が関わったというのはそれほど遠い推測でもないようだが、それだけに残念な点である。

とはいえ、著者の地道な取材による成果は確実にあがっている。巻末に収録されている、中野学校のゲリラ戦教育に使用されたとされる教材は、その実践的な内容に陸軍中野学校の存在感を感じることができるだろう。

【関連書籍】
小野田寛郎:たった一人の30年戦争 (1995)
 小野田は、陸軍中野学校・二俣分校でゲリラ戦の教育を受けた。

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はじめての「独立・起業」なるほど成功ガイド (2005)

10 月 14th, 2006

税理士として開業し、税務・経理を中心とした企業コンサルタントを営む著者による本。内部資源と外部資源から自社の有利・不利を知るSWOT分析や、業界を2つの軸で分析するポジショニング分析など、まずは教科書的な経営学手法で自分の事業を詳細に計画せよと指摘する。

やってもらって当然(ニーズ)に加えて、やってもらうとすごくうれしい(ウォンツ)を消化せよといい、他業種や競争の激しい業界であたりまえになっていることを事業に取り込んでみせよとアドバイスする。税理士の独立起業本というと、経営戦略面はお茶を濁す程度が多いが、こうした点に内容があるのはあまり多くないという気がする。

経理実務面では、例えば現金出納帳を廃して事業主貸で処理せよとかいう興味深い指摘もある。しかし出色の面白さは、公的支援制度や銀行融資を有効活用するアドバイスだろう。本書によると、銀行員融資担当者向けの研修マニュアルがあるというが、確かに銀行研修社という出版社から多数出されているようだ (Amazon:和書(銀行研修社))。税理士が関わる決算書は要注意だとか、粉飾を見分けるポイントはここだとか、銀行員のさらに裏をかく手法が述べられており、それが実用的かどうかはおいたとしても極めて面白い。

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