1 月 26th, 2009
インターネットに対する過剰な期待感(バブル現象)を読み解く本。
【目次】
第1章 本当に、新聞はネットに読者を奪われたのか?
第2章 ネット空間はいつから貧民の楽園に成り下がってしまったのか?
第3章 情報革命バブルとマネーゲームの甘い関係
第4章 ソフトバンクモバイル(SBM)で考える時価総額経営の終焉
第5章 「ネットの中立性」とネット「無料文化」の見直し
第1章では、ネットに読者を奪われるという幻想が、新聞社自らの経営努力不足を覆い隠す方便になっていると指摘する。新聞社の欠点は、新聞メディアのコア価値を認識しない点、そのコア価値を安価にネットポータル等に売っている点、読者層の調査・把握に関心がない点などをあげる。
第2章では、ネットユーザの可処分時間などに注目して、ユーザ主要層は社会参加していない人々とし、ネットはそれらの層の持つ価値観に覆われて、反社会化していると指摘する。
第3章では、証券市場に蔓延する広義の粉飾や、堀江ライブドア前後の変化を概観する。市場の透明性を後押しする動向と、ライブドア以前にあったネットに対する過剰な期待感や投資資金流入が失われるだろうと予測する。
第4章では、ソフトバンクモバイルがYahoo!BBなどで行った廉売戦術を踏襲している点、それが投資家らの過剰な期待感を背景にした資金調達に依存している点を指摘する。SBMが倒産するのは「万が一」としているが、今後はインフラ維持の観点などから利用者の費用負担は増大すると指摘し、第5章へとつながっていく。
カテゴリー: IT・Web, ビジネス・経営 |
タグ: 2008 | コメントはまだありません
12 月 24th, 2008
日本の社会構造にある問題点を考える本で、若い世代や女性全体と、社会変革を考える立場に向けて書かれたと考えられる。
第1章「若い人が暗い国」では、30代前半以下の若い世代が雇用や政策面で冷遇されていて、総じて悲観的であるという現状認識のもとに、なぜそうなったのかという部分を日本社会の制度設計を概観してみせる。
第3章「女性が産める国、働く国へ」では、女性の社会参画という視点から制度や社会構造の問題点を検討する。第5章「NYで考えたポスト資本主義」では、米国や日本の社会構造を検討しながら、社会企業家やボランティア活動の面から社会構造改革を考える。2章、4章はそれぞれ西原理恵子、雨宮処凛との対談記事になっている。
著者は公認会計士で外資系勤務などの経歴をもち、現在は経済評論家。個人的には、流行のベストセラー作家だということは知っていたが、特に関心はなかった。あるときAmazon.co.jpの「なか見!検索」で本書の第1章を見てから、読んでみようかという気になった。
著者の現状認識はおおむね共感できて、冷静に分析していると思われた。その対策を安易に政治に求めるような野党精神ではなく、時間がかかっても人の意識を変えて、それから社会全体を変えていこうという点にも好感が持てる。
【言及しているブログ】
http://d.hatena.ne.jp/happysmiletalk/20081223/p1
http://plaza.rakuten.co.jp/siorin/diary/200812210001/
http://we23randoku.blog77.fc2.com/blog-entry-35.html
http://yaoyorozu.gunmablog.net/e28444.html
http://blog.livedoor.jp/s_kuri2002/archives/51432084.html
http://tanakaweb.jugem.jp/?eid=86
カテゴリー: ビジネス・経営 |
タグ: 2008, 勝間和代 | コメントはまだありません
12 月 21st, 2008
未来の日本、超能力教育が中心になった学校や社会を舞台にした、少年少女たちの物語。
少女・早季らは学校生活で念動力を習得する。キャンプ旅行で偶然にも社会の秘密に触れてしまうと、規律違反として能力を封じられる。鼠部族の紛争に巻き込まれたあと、自力で能力を復活させ、大人たちの目をごまかして日常へ復帰する。少年少女たちは、この社会を支配する力をたくみにかわしたと思っていた。しかし親友を失う事件が起き、物語は不穏な様子をみせて下巻へ続く。
まず本の分厚さに驚かされ、分量を生かした余裕のある物語運びに少し退屈するが、少女たちが社会の秘密に触れるあたりから急激に面白くなり、止まらなくなった。物語は陰謀論や管理社会への抵抗を枠組みにしているが、主人公たちの非力さが社会の強大さと対比して、面白さの味付けになっていると思われた。いわゆる「ハラハラドキドキ」である。厳正な枠組みの中で主人公たちが苦闘する話は、同じ著者の「クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)」を思い出させる。実にエンターテインメント色の強い小説。
新世界より 上 貴志 祐介
講談社 (2008-01-24)
ISBN-10: 4062143232
ISBN-13: 9784062143233
カテゴリー: 文芸 |
タグ: 2008, 貴志祐介 | コメントはまだありません